恵み豊かな大地と文化的価値の高いシャトーを後世に継承していくために、シャトー・ラグランジュでは、現場で作業に携わるスタッフたちへの感謝を忘れることなく、自然環境に配慮したぶどう栽培・ワイン生産に取り組んでいます。苗木の選択にはじまり、人の手で丹念に行なわれる伝統的な畑作業に至るまで、合理的で安定した生産プロセスの維持を基本理念としています。
ぶどう収穫は手摘みにこだわり、厳選に厳選を重ねて、ぶどうの個性、そして風味の真髄を見極めています。
ぶどうの醸造工程の中でも、ここは極めて重要なステップです。醸造庫に運び込まれたぶどうは熟練スタッフが手作業で選別し、その後、光センサーカメラ搭載の選果機を使って再度入念な品質チェックを行ないます。
次に、破砕したぶどうを個別にタンクに詰めていく作業に入ります。畑での「各区画の特性を生かした管理」は、その後の醸造工程においても徹底されています。102基設置されたタンクは、それぞれ103に細分化された畑の区画に対応。みずみずしいアロマと風味、そしてそれぞれのテロワールの個性を損なうことなく醸造可能な、非常に機能的な設備です。
醸しから発酵まで、重要な工程では必ず試飲して作業を決定しています。醸造コンサルタントにエリック・ボワスノ氏(Eric Boissenot)を迎え、シャトーのエノロジスト4名とともに試飲を重ね、収穫後に初めて迎える冬の間にアッサンブラージュを実施します。
熟成工程中もワインには入念な品質管理を怠りません。例えば、蝋燭を手に樽の鏡板に開けられた穴を使って行なう澱引き、これは精緻さが問われる作業です。また、補酒にもノウハウと根気が必要です。時間とともに作品が形になるまで、ワインがその魅力を花開かせるまで数ヶ月、或いは数年の歳月を要します。その後、フランス各地、世界各地へと、ボルドーのネゴシアンを介して、ワインはいよいよ私たちのもとから旅立ちます。
樽熟庫の一角には古いワインが収められているセラーがあります。長い年月の間大切に保管されてきたボトルの数々。これらは、ラグランジュでワインづくりを任された、歴代エノロジストたちが私たちに残してくれた遺産であり、ノウハウの結晶です。