唯一無二のアペラシオン

 

サンジュリアン、この名を耳にするだけで不思議な力を感じます。それはこの地が歩んできた歴史と自然環境のなせる技でしょう。ボルドー市から40キロメートル、アペラシオン・サンジュリアンは11軒の格付シャトーを抱え、これらシャトーの所有畑がアペラシオン全体に占める割合は、実に85パーセントに上ります。シャトー・ラグランジュは、まさにトップクラスのワイナリーがひしめき合うサンジュリアンを代表する存在です。

ぶどう畑について

 

シャトー敷地内には地質学「ギュンツ氷期」に形成された二つの丘。そのうちの一つはアペラシオン最高の標高に位置しています。シャトー・ラグランジュのぶどう畑は118ヘクタールが地続きに広がっています。

栽培比率はカベルネ・ソーヴィニヨン67パーセント、メルロ28パーセント、プティ・ヴェルド5パーセントです。畑は100を超す区画に細かく区分し、個別に管理しています。平均樹齢は40年、最高齢樹は1952年に植栽されたぶどう樹です

その他、白ワイン用区画として11ヘクタールを所有しています。栽培比率はソーヴィニヨン・ブラン80パーセント、ソーヴィニヨン・グリ10パーセント、セミヨン10パーセントです。

個性を生かす生産アプローチ

 

土壌分析結果に基づいて、表層および下層は17の異なるタイプに分類され、それぞれのテロワールに適したぶどう品種および台木を採用しています。個々の特性を生かしたぶどう栽培、区画ごとの入念な管理の徹底、さらなる個性を引き出すための努力は脈々と続きます。

自然と人との調和を目指して

シャトー・ラグランジュではこれまで20年、環境に配慮した栽培・生産に取り組んできました。これには畑スタッフたちとの協力体制が不可欠でした。

活動の原動力となっているのは、土地への愛、常に情熱を傾けワインづくりに取り組むスタッフたちへの敬意、そして、絶えず問題意識を持ち、次世代のために未来を守りたいという強い思いに他なりません。私たちは、土地および資源の保全に努め、自然と調和したワインづくりを目指します。私たちは、環境負荷の少ないグランヴァン生産を目標に掲げ、自然環境保全のための方策を模索し、提案し続けます。

1995年には、ハマキガ対策の実験区域としてフランス国立農学研究所(INRA)の調査研究に参加。2005年には、ボルドー地方のワイナリーでは初めてカーボンフットプリントの算定を開始し、レゾネ(合理的/減農薬)農法の認証を取得しています。2015年にはさらに一歩前進し、組織的アプローチである環境管理システム(SME/EMS)に参加。ISO14001認定の取得を目指し、2017年に取得しています。

シャトー・ラグランジュでは、生垣を整備し、羊に草地をはませ、養蜂箱や鳥の巣箱を設置しています。その他、草刈りの時期を遅らせ、休耕地を花畑に転作するなど、それらはすべて、ぶどう畑の生物多様性の保全を目的としています。

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敷地内での化学製品ベースの除草剤の使用は完全に廃止し、2008年からは10ヘクタールの一部区画においてビオディナミ農法を、20ヘクタールの区画においてオーガニック農法を導入し、それぞれの基準を遵守した生産を行なっています。また、エコシステムの維持・向上と土壌侵食防止を目的として、区画の大半は自然の状態の草生栽培で管理しています。

その他、醸造庫・樽熟庫の屋根にはソーラーパネルを設置、エネルギー収支はプラスです。エネルギー資源に関しては絶えず有効管理に努めています。

自然環境に配慮し、資源を大切に。どのような方法でワインをつくるのか、生産方針には細心の注意を払っています。常に問題意識を持って生産に取り組む、そこに生まれるシャトー・ラグランジュのワインは、まさに私たちの思いと努力の結晶なのです。